はじめに
子どもに怒りやすい病気のひとつ「クループ症候群」ってご存知でしょうか。
私も看護師なので名前と症状について教科書通りの知識は持っていました。
「ケンケン」というような犬の鳴き声のような咳、「陥没呼吸」と言って、ヒューヒューという胸を凹ませる呼吸。
言葉では理解していても、実際目の前で娘が苦しんでいるのに確信が持てませんでした。上の子二人を健康に小学生まで育てた経験が正常性バイアスを引き起こし、大丈夫だろうと思い込んでしまったのです。
病院に着くのが遅ければ、娘の機嫌がさらに悪くなって大泣き状態が続いていたら、気道狭窄が悪化して低酸素脳症など取り返しのつかないことになっていたかもしれません。
赤ちゃんだから怖い、3人目だからこそ気を付けなければならない、と痛感した出来事でした。皆さんが迷った時の参考になればと思い、お伝えしたいと思います。
クループ症候群とは
3か月~3歳ぐらいの小さいお子さんにみられることが多い感染症のひとつを指します。
「ケンケン」と聞こえる特徴的な咳が出るようになります。喉が腫れて気道が狭くなることで呼吸がしにくくなり、「ヒューヒュー」という狭窄音を伴ったり、胸から下がベコベコと凹む陥没呼吸が見られることで有名です。
原因は主にウイルス感染であり、急激に症状が悪化することもあるため注意が必要です。
娘の症状はどうだったか
当時2か月だった娘の場合、まず前日から「ケホケホ」というような小さな咳と鼻水が出ていました。
小さい子にはよくあることだし、いずれ治まるだろうと、様子を見ていました。
ですが翌日の夜、39度の発熱をしたのです。確かに高い音で咳もしていたけど、生後2か月だとこんな高い音の咳なのかなぁという感じでした。心配しつつも、ミルクを飲むと眠るし、これまで上の子を看病した経験もあって特に大事に至らずにきたので、この子も一晩くらい自宅で様子が見れると思いました。なにより、夜間救急の待ち時間の長さや受診の大変さを身をもって知っていたので、夫に上の子を任せて私ひとりで生後2か月の子を連れて受診するのをためらう気持ちがあったのかもしれません。
夜中に感じた鳴き声の異常性、泣いていても陥没呼吸は陥没呼吸
夜中、鳴き方に異常性を感じ始めました。肩で大きく息をするような、いわゆる努力呼吸でした。こんな泣き方は初めてでした。
まさか、と思って服を脱がせると息を吸うたびにみぞおちのあたりがベコベコと凹んでいました。明らかな「陥没呼吸」でした。ですが、鼻水の「ズルズル」という音に「ヒューヒュー」という狭窄音がかき消されてしまっていたのと、普段泣いているときのおなかは、服を着ているのでわからなくて、泣いているからお腹が凹むのかもしれない、となぜか思ってしまったのです。
ここで一つ大切なことを伝えます。泣いていても陥没呼吸は陥没呼吸なのです。健康な赤ちゃんは泣いてもみぞおちが凹んだりしません。
不安になった私は「子ども救急電話相談室」に電話をして娘の状態を相談しました。陥没呼吸をしている場合は救急車を呼んでください、と言われました。
ですが電話をしたときには陥没呼吸は消失していて、「赤ちゃんが泣くとお腹って凹むのが普通なのかも?上の子たちも熱が出てもすぐ元気になってたし大丈夫かな。」と、正常性バイアスがかかってまいました。
用意をして車で30分ほどかけて救急病院へ行き、そこからさらに約90分も待ちました。その間、娘の呼吸は少しずつ苦しそうになり、このまま呼吸が止まったらどうしよう、なんで救急車を呼ばなかったんだろうと、後悔と不安で落ち着きませんでした。
ようやく診察に呼ばれ、気管支炎からクループ症候群になっていると診断され、すぐにステロイドを内服させてもらって少しはほっとしましたが、不安と自責の気持ちと後悔が強すぎてしばらくは娘を抱きしめたまま動けませんでした。
まとめ
その後、ステロイド療法が奏功し、まもなく娘は回復しました。
ステロイドの内服がもっと遅かったら、娘の機嫌がもっと悪く泣き続けていたら、と思うと今でもぞっとします。
どうか皆さん、陥没呼吸に気付いたらすぐに救急に電話をしてください。
上の子も大丈夫だったから大丈夫、なんてことは絶対にありません。
娘が無事で本当によかったです。


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