挑戦その3―投資Instagram―

在宅挑戦記録

「発信で稼ぐ」と「現実」あいだで

またもや、SNSの甘い誘惑にのって始めたのがInstagram。流行りの「100日後に〇〇する」というアカウントならバズるんじゃないかと思いつき、何の計画もないまま「100日後に投資で生計をたてる!」というキャッチフレーズでアカウント運営を始めた。

着眼点は良かったのか、フォロワーは着実に伸びた。

➖21万円の損失を抱えた状態から毎日トレードをし、その日の損益をアップした。毎日投稿するために、スマホ片手に1歳児の子守をしながら株の売買をした。もちろん、投資と投稿で勉強する暇なんてなく、勘に頼ったトレードだ。

グラフを作っては「今日はプラス!」と書き込み、ハッシュタグを並べて自己満足。最初は楽しかった。フォロワーも右肩上がりに増えていった。「私、インフルエンサーの卵かも?」と勘違いしていた。


発信のために損する日々

けれど、現実はそんなに甘くなかった。フォロワー800人。Instagramの収益は0円。
「フォロワーが増えれば、企業案件が来るかも」なんて淡い期待を抱いていたが、届くのは怪しい投資勧誘のDMばかり。しかも「一緒に稼ぎましょう!」というメッセージの裏には、だいたい高額な情報商材のリンクが貼られていた。

そこで私は気付いた。投資アカでキラキラママのような企業案件が来るはずがない。経済の知識も投資の知識もないただの初心者投資家にからオファーなどあるはずがないのだ。

そして、投稿を続けるためには、実際に投資を続けなければならない。つまり、身銭を切る。毎日眠い目をこすりながら投稿を続けても1円にもならなず、メンタルも資金も削られていか日々だった。

当時の私は、投資の勉強などほとんどしていない。YouTubeで流行りのデイトレードを真似し、スマホ片手に相場を眺めながら、1歳の末っ子と公園で遊びながら、時には偶然出会ったママ友と立ち話をしながら株を売買していた。まさに「ながら投資」。スマホから目を離した隙にドーンと損失を抱えることもしばしばあった。今思えば、そんな軽装備で相場に挑むなんて、無謀にもほどがある。


「家族と投資と、スマホの距離」

そんな中で、トランプ関税ショックが起きた。株価は急落し、私の口座も真っ赤に染まった。スマホの画面を見つめながら、「赤って、こんなに心臓に悪い色だったかな」と思った。

損失が増えるたびに焦り、焦るたびに判断を誤った。それでも続けているとマイナス21万円の損失は10万円ほどに減った。ただ、数字以上に痛かったのは、心の余裕を失ったことだった。イヤイヤ期に入った末っ子はほったらかし、上の子が話しかけてきても「黙って!」と八つ当たりしてしまう。家族の笑顔が遠のいていくのを感じながらも、スマホを手放せなかった。

投資を始めてから、家族との時間が減った。朝起きてすぐスマホを開き、夜寝る前までチャートを見ていた。子どもが「ママ、音読聞いて!」と宿題を頼まれても、「ちょっと待って、今大事なところ!」と返してしまう。

今思えば、あの「大事なところ」は、たいてい大事じゃなかった。気持ちが焦っていただけだった。株価を見ていないと不安でいられないのだ。そうして、子どもの笑顔を見逃していた。

夫にも呆れられた。「そんなにスマホばっかり見て、何が楽しいの?」と聞かれたとき、答えられなかった。楽しいというより、やめられなかった。損を取り返したい気持ちと、フォロワーに「今日も頑張ってます」と見せたい気持ちが、ぐるぐると頭の中を回っていた。

ある日、末っ子が私のスマホを奪い取って投げた。「何するの!」と怒る私。泣き出す末っ子。子どもは悪くない。スマホの画面ばかり見て、結果的に子どもを無視していたのは私だ。「何してるんだろう?」と、泣いている末っ子を見ながら我に返った。

そもそも子どものために始めたはず。今の自分は子どもにとって最悪の母だ。

「発信で稼ぐ」どころか、「発信のために損する」状態。フォロワーが増えても、心はしんどくなる一方だった。投稿のネタのために取引を続け、損をしても「これも経験」と自分に言い聞かせた。けれど、心のどこかで気づいていた。私はもう、稼ぐためではなく、見せるために投資をしていたのだ。

それでも得たもの。

100日になった時、毎日投稿は辞めた。フォロワーの数もそこからかわっていない。

それでも、完全に無駄だったとは思わない。あの経験から得たものはいくつもある。

まず、投資は片手間でできるものではないということ。ニュースや経済指標、企業の決算、為替の動き。あらゆる情報を多角的に収集し、分析し、予測する力が必要だと痛感した。次に、投資はメンタルの勝負だということ。利益が出たときに浮かれず、損をしたときに冷静でいられるか。数字よりも心のコントロールが難しい。

そして何より、「継続する難しさ」を知った。毎日投稿を続けること、損をしても立ち止まらないこと、誰にも見られない努力を積み重ねること。そのどれもが、思っていた以上に大変だった。

収益はゼロでも、経験はプライスレス。SNSで稼ぐことの厳しさを、身をもって知った。フォロワーが増えることは嬉しかったけれど、それ以上に、自分の未熟さを見つめ直すきっかけになった。

今では、あの800人のフォロワーを「800人の証人」だと思っている。私の失敗も、焦りも、全部見てきた人たち。だからこそ、もう取り繕う必要はない。失敗を隠さず、堂々と語れるようになった。

まとめ 生涯実現損益+13,000円

あの頃の私は、「発信で稼ぐ」ことに憧れていた。でも今は、「発信で学ぶ」ことの価値を知った。損をしても、恥をかいても、そこから何かを掴めるなら、それはもう立派な投資だと思える。

結局、現在の生涯実現損益は約プラス13,000円。コツコツと辛抱強く続けたことで-21万円の損失からプラス化することができた。SNSの世界は華やかに見えるけれど、その裏には地道な努力と、数えきれない失敗がある。

最後に、1冊の本を紹介する。私の記録を読んで投資に興味を持ったなら必ず読んでから始めてほしい。基本的なチャート、平均線、出来高の読み方が解りやすくまとめてある。もしも、好きな上場企業があったなら、各期の決算表と照らし合わせてみることで勝率が確実に上がる。

SNSにあふれている情報に流されず、地に足をつけ、自分に合った投資をされることをお勧めする。

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